2)暖地対応高遮熱・気密住宅

暖地においては、冬季はもとより期間の長い春、秋に外気や太陽を部屋中に一杯に入れたいし、初夏の風を入れることによって、できるだけ冷房の期間を短くした高遮熱・気密住宅の造り方を計画しなければならない。その際問題になるのは、開口部であるから、複層(遮熱)ガラス+遮熱サッシにして、できるだけ風通しを配慮した位置に、また明るい空間となるような最適な位置に大きく設ける事が総合的居住環境の向上の 視点から望ましい。特にその地域の夏季における風向き、かつ夏季の遮熱対策を考慮して開口部を計画するのがキーポイントになろう。通常、地域の寒暖によって、どの程度の高断熱・気密住宅にするかを検討しているが、もう一つの判断基準は都市内に建つ住宅であるか、否かということではなかろうか。騒音の大きい、空気の汚れた都市内の住宅には、もはや爽やかな外気、静かな環境は存在しないケースが多いため、寒暖の地域に拘らず、防音性を高めた高気密住宅で空調完備の住宅をつくることが最適な選択になろう。次に最近、W地域に建てられた高断熱・高気密住宅で、夏季に暑くて冷房がきかない。あるいは、暑くて寝れないとのクレームの生じた住宅を調査した。その原因は、高断熱・高気密住宅が暑い地域から生まれたものでないために、暑さへの対策が乏しいことに起因していた。その主要な原因は次のようであった。