3.空気環境(室内空気汚染と疾病)

1)暖房器具による室内空気汚染

開放型ストーブ(石油・ガス)の燃焼に伴い、二酸化炭素(CO2)はもちろん、窒素酸化物(NOx)、とりわけ二酸化窒素(NO2)が発生する。さらに点・消火時には臭気を伴い一酸化炭素(CO)や アルデヒド類が発生する。住宅の気密化に伴いCO2を除く他の化学物質による室内の空気汚染が現在大きな社会問題になっている。

建築材料による室内空気汚染

これからの住宅は断熱化と相まって気密化が図られる。北海道の機密性能の指標(単位床面積当たりの相当開口面積)をみても、普及型で5cu/u、誘導型で2cu/uとなっており、ますます高断熱・高気密住宅の流れになっている。その際、室内の汚染物質を効果的に排出するための計画換気が必要となる。もし換気が有効に働かなかった場合には、換気不足によるシックビル症候群に代表されるような目・鼻・喉などの粘膜刺激症状の発生が危惧される。また、最近では住宅でも建築材料に含有する化学物質が揮発して室内の空気を汚染し、健康を阻害する問題、つまりシックハウス症候群、化学物質過敏症が起きており、室内空気質の改善が望まれている。

室内での化学物質の中で大きく空気汚染に関与しているのはホルムアルデヒドである。その発生源としては、建築材料(合板、パーティクルボード)、家具、建具、書籍などに使用されている接着剤、塗料、燃焼器具、喫煙などがあげられる。米国の環境保護庁(EPA)の報告では、喘息の原因、さらには1日・焼く18時間を5年間にわたって0.1ppmの濃度のホルムアルデヒドを吸い続けた場合には、1万人に1人の割合で発癌する危険性があるという。一方、欧米諸国のホルムアルデヒドの室 内空気の基準は、世界保健機構(WHO)0.08ppm、西ドイツ、スウェーデンで0.10ppm、デンマークで0.12ppm、米国カリフォルニア州で0.20ppm(新築時では、0.05ppm)などと決められている。