木製建具

調質機能と意匠性が長所

 木製建具は、アルミ製の建具が主流の現代にあっても、根強い支持者がいます。

 木製建具は、寒冷な国では他の建具と比べて圧倒的に多く使われているが、日本ではアルミ製建具と比べると、シェアは少ない。その理由のひとつは、木製建具はオーダーメードが中心で低価格の普及型製品が少ないことだ。

 それでも、木製建具に支持者がいるのには、いくつかの理由がある。
 一つは、木の意匠性の高さ.枠に塗る色を豊富な選択肢から決めることができるうえ、木製家具との調和を取りやすいことだ。
 木には、調質特性がある。短期間の結露ならば,表面の結露水を木が吸収するため、表面に結露を生じない。また、耐風圧性があるため建具が他の材質と比べて軽くて済み、施工がしやすいのも特徴である。
 木製建具には、ヨーロッパから来た開閉方式を使ったものが多い。
 代表的なのは、ヘーベシーベと呼ばれるもの。基本的には内引き戸方式だが、取っ手の操作によって下端を固定したまま上端が20cmほど内側に倒れかかった状態にすることができる。同様に、ドレーキップという開閉方式は、ガラス戸を内側に90度まで開けられ、
いったんガラス戸を元に戻せば上端を内側に倒すことも可能だ.換気ができるだけでなく、外部から窓を操作できないので防犯にもなる。

塗装が木製建具の寿命を決める

 木製建具を使った建物の設計では、外壁との位置関係が重要となる。例えばドイツでは、断熱材入り多層壁の場合は断熱材の位置に建具を取り付けることを勧めている。窓とその近くの壁との温度差が少なくなり、結露が生じにくくなるからである。
 塗料も、建具の寿命を左右する。木目が楽しめる透明な塗装は、常に温度が変化する環境に置かれると、劣化しやすい。不透明な塗装をし、光を反射させた方が建具が長持ちする。また、塗装に厚みをもたせれば、割れにくく、灰色に変色することが少なくなり、ヤニが染み出しにくくなる。
 木製建具用の塗料は耐久性が比較的低いため、何年かに一度の再塗装が必要となる。一般的に造膜型塗料は含浸型塗料よりもはっ水性が高く、カビが発生しにくいが、塗料に含まれる樹脂によっては1年以内でカビのために建具の外観が変化することもある。また、ガラス戸の下枠は水が溜まりやすく塗装の劣化が起こりやすい場所なので,木製建具を使う際には水切りを考慮することが肝要であると言える。
※参考文献 窓まわりのディテール 日経BPムック(H10.5.25発行)

窓のページへ NEXT